津軽三味線の教室に通い始めて3回目のお稽古のとき、新しい生徒さんが入ってきました。
新しい生徒さんは60代くらいの男性で、初対面にもかかわらず、なぜか先生(80代)にタメ口だった。
それを見ていて、つい「アタシの可愛い先生に偉そうにタメ口きくなやゴラァア」と内心思ってしまった心の狭い私です。※アタシの先生じゃなくてみんなの先生です。
ちなみに先生は女性が大好きなので、男性の生徒さんが入ってくると少し残念そうです。
実はこの男性は新品の立派な三味線を購入して持って来ていました。
三味線のレンタル枠が埋まっていたので、ご自分でお店に行って買ってから教室に申し込んだのだそうです。
うわー、津軽三味線を見たことも弾いたこともない人が、35万円の三味線セットを持ってきましたよ。
※訊かれてもいないのに、本人が大声で「35万円で買ったんだよ」と喋り始めました。自慢が多い上司タイプの男性です。
く、悔しい
(/ω\)アタシの貧乏が悔しい。
花梨でもなく延べ竿でもなく紅木の三折三味線です。
もちろん初心者の練習用ではなくて演奏用の美しい三味線です。
※ちなみに樹脂製べっ甲調のオサレ撥がセットになっています。
もちろん私はレンタルですけどね
ギターじゃないのよ三味線は
私は貧乏者のひがみまるだしの目線でその男性を見てしまいましたが、聞けば、どうもその男性は音楽が趣味でギターをずっと弾いていたそうです。
ギターといってもアンプだのなんだの揃えれば30~40万円なんてあっという間に飛んでいきますから、35万円の三味線に「高い」という感覚は無かったんだと思います。
そりゃぁ、頑張って定年まで働いてきたんだもの、35万円の三味線くらい買うわよね。
でもなんか悔しい
(/ω\)私と同じ初心者なのに紅木の三味線持ってるなんて
さて、新品のピカピカ三味線で音を出す練習を始めた男性なんですが、なんせ長年ギターに親しんでいる。ギターの弾き方が体に染みついてしまっているのですね。
だから、撥をギターのピックのように持って、ギターの要領で弦を弾いてしまうのです。何度も弾き方を直されて苦心していらっしゃる。
フフフ ( ̄ー ̄)ニヤリ
※心の狭い私
三味線は先生に言われたとおりに素直に弾くことができればいいのだけど、彼には「所詮、ギターの延長線」と思い込んでいるフシがある。
三味線はこういった先入観から自由になれないと苦戦するものらしい。
思わず「ギターじゃないのよ三味線は ハッハ~」というフレーズが頭の中に浮かんでしまう無表情の私です。(笑わないように気を付けた)
さて、1回目のお稽古で基本の持ち方や音の出し方を練習した彼。
2回目のお稽古のときにも、まだギターの要領で三味線を弾いていたので、もう一度、基本の音の出し方だけを練習するように先生に言われました。
彼はかなり遠方から時間をかけて三味線を習いに来ていらっしゃるようなので、「今日もまた同じことやるの?」と思ったかもしれない。
まぁ、その気持ちはよくわかる。
突然男性は先生に「すくいハジキとかはいつやるの? ああいうの、やりたいんだけど」と先生に言ったのですね。
すると、すかさず先生が「それは今やらね。きちんと弾けて、その後だ」とピシリと断っていらっしゃった。
実はそれまで、彼はずっとつまらなさそうに三味線を少し弾いては
「もうできました、もう弾けますから」といった面持ちで三味線を置いてただ座っているだけだったんですね。
しかしお稽古は、自分が「できる」と感じても先に進めません。
先生が「良し」と認めないとずっと同じところを練習するだけなんですね。
それに気づいた彼は、その後、本当に真面目に三味線の練習をしていました。
彼は結局1か月間、ただひたすら音の出し方だけを練習していましたよ。
ギターと同じ要領で弾いてはダメなんだ、三味線は三味線の弾き方があるんだ、と頭でわかっていても、長年ギターを弾き続けた彼の手にはギターの弾き方が染みついてますから、かなり大変だったと思います。
ギターから三味線にシフトした人は、初めて三味線を習った私とは、また違った難しさがあるんだな、と思いました。
彼は今「曲弾き」の楽譜をもらって頑張っています。
頑張れオッサン!
以上、四門でした。