初めて鉄瓶を買ったとき、使い方を知らなかったためにちょっとした失敗をしました。
鉄瓶の特徴を知ってさえいれば「笑いごと」のような失敗ばかりですが、鉄瓶は私にとって身近な存在ではなかったので知らないことばかり。
私の失敗から学んだ鉄瓶の使い方についてご紹介しようと思います。
なお、初めての鉄瓶選び については以下のページで紹介しています。併せてご覧ください。
まずは鉄瓶の手触りにビックリ
実際にお店で鉄瓶を見たり触ったりしながら購入された方は別ですが、通販などで初めての鉄瓶を購入された方は鉄瓶の入った箱を開けて驚くことも多いと思います。
鉄瓶は鋳物なので新品の鉄瓶の肌はザラリとした手触りをしています。
初めて購入した鉄瓶のザラリとした手触りに「なにこれ、ザラザラしてる」と、ガッカリする方もいらっしゃるかもしれません。
しかし鉄瓶の肌は、使い込んでいくうちに手触りよく馴染んでいきます。
5年ほど使用した我が家の鉄瓶はしっとりと黒く艶めいて、なめらかな手触りになりました。
最初はただ黒かっただけの鉄瓶。
毎日の生活の中で、いつの間にかやわらかな艶が生まれ、手に馴染んでいるのです。
鉄瓶は使い込むにつれ、愛着が湧く、美しい生活道具です。
※ザラザラしているか、最初から少し磨いてあるかは鉄瓶メーカーにもよります。
鉄瓶ことはじめ
初めて使う鉄瓶で沸かしたお湯は、鉄の臭いがすごいので飲めません。
まず鉄の臭いが水に移らなくなるまでお湯を2~3回沸かしましょう。
鉄の臭いが気にならなくなったら大丈夫です。
ただ、鉄瓶を火にかける際には注意が必要です。
実は鉄瓶はフタをきちんと閉めて火にかけると
沸騰した際に、突然鉄瓶の注ぎ口から熱いお湯が勢いよく飛び出します。
とても危険なので、鉄瓶で湯を沸かす際には以下の点に注意してください。
- 満水にしない(7分目くらいまで)
- フタをずらして沸かす
- 小さい子供・ペットがいる家庭では特に注意する
- 鉄瓶は火にかけると全体が熱くなり直接触れないので鍋つかみを使う
以下、詳しく説明していきます。
1満水にしない
もちろんご存知かもしれませんが、鉄瓶の縁ギリギリまでたっぷりお水をいれて火にかけると吹きこぼれます。
水は9分目くらいまでならいいだろうと思って火にかけたことがありますが、水は熱くなると膨張して容量が大きくなりますから結局溢れてしまいました。
鉄瓶に入れる水は容器の7分目までが適量です。
2フタをずらして沸かす
鉄瓶のフタには蒸気が抜けるための穴が開いていません。
そのためフタをきちんと閉めた状態で火にかけると熱い蒸気で内部の圧が高くなり、逃げ場のないお湯が注ぎ口から吹き出してしまいます。
熱いお湯が勢いよくふき出すので、大変危険です。
そこで、フタを少しずらして蒸気の逃げ場を作ってあげましょう。
フタをはずしてお湯を沸かすのもいいのですが、フタをはずすと鉄瓶のツルの部分が蒸気で熱くなったり水滴がたくさんつきます。
他、3と4の項目についてはヤカンや鍋を火にかけたときと同じですので解説は省きます。
※熱湯の入った鉄瓶は想像以上に熱いです。テーブルや棚、お盆などに直に置いてしまうと焦げてしまうことがあります。鍋敷き・ポットマットを使用してください。
鉄瓶とガスコンロ
ガスコンロで鉄瓶を火にかける場合、鉄瓶の大きさとデザインによってはガスコンロに乗らない(乗せてはいけない)鉄瓶もあります。
例えば、鉄瓶の接地面積(底の面積)が極端に小さいデザインは、ガスコンロの「ごとく」に乗らないことがあります。
実は、私が初めて購入した鉄瓶は、底の大きさがガスコンロの「ごとく」より小さかったんです。
購入する際は気づきませんでしたが、お店で購入して持って帰り、家で火を沸かそうとしてコンロに乗らないことが発覚しました。
大失敗です! (≧▽≦)キャハ
そのため、冬の間ストーブに乗せて使っています。
後から気が付いたんですが、私が最初に買った鉄瓶は実は鉄急須でした。
鉄瓶とスス
鉄瓶をガスコンロの火にかける際は、ガス火が鉄瓶の底からはみ出ないように火の強さを調節してくださいね。
早く沸かそうと強火にして、火が鉄瓶の底からはみ出ると鉄瓶の側面にススがつきます。
黒い鉄瓶にススがつくと目立つうえに薄汚く見えるのでだいぶ悲しくなりますが、それも鉄瓶独特の風合いではあります。
もともと火にかける物なのでススが付いてしまうのは仕方がありませんが、気になる方は気を付けてください。
ちなみにススはとれにくく、こすってもとれません。
ススがついたら、慌てず、がっかりせず、決してこすらないでください。
ガシガシと洗ってもいけません。
緑茶など飲み残しのお茶をふくませた布巾で鉄瓶が熱いうちに毎日撫でまわしてください。それなりに気にならなくなります。
鉄瓶とIH
IHの強ではパワーが強すぎて鉄瓶の底がゆがむなど痛んでしまうので、骨董の鉄瓶は使用できません。
また、鉄瓶の底の面積が小さすぎるデザインのものはIHが反応しません。
鉄瓶は強い火力のガスコンロよりIHのほうが傷まないと言う方もいますが、もともと火にかけて使用するための道具ですのでIHで強力に熱すると傷んでしまうと思っていたほうが良いでしょう。
※強火を想定していないので、鉄瓶の底から火がはみ出ない程度の火力が適当です。
IHに対応できない鉄瓶もありますから購入の際にはIHが使えるか確認してください。
なお、OIGENではIH用に底部分が厚くなった鉄瓶も作っていますので、ここでご紹介しますね。
ガス火にもIHにも対応した鉄瓶です。
一番最初の画像にもあるように、私もこちらの鉄瓶を使用しています。
鉄瓶・鋳物で世界的に有名なOIGENの鉄瓶は、注ぎ口の美しさ、昔ながらの鉄瓶らしいデザイン、使い勝手の良さはズバ抜けています。
もともと鉄瓶はストーブや火鉢など、長時間熱し続けるシーンでこそ実力を発揮します。つまり、ゆっくり・じっくりお湯を沸かす、というのが鉄瓶の醍醐味といえます。
IH、ガスコンロ、どちらでも言えることですが、早くお湯を沸かすならヤカンのほうが適しているのですね。
そういった観点からいえば、IH・ガスコンロでの使用は『鉄瓶でお湯を沸かす時間・風景を楽しむ』といった楽しみ方で使用されるといいと思います。
薪ストーブなどで楽しみたい鉄瓶はこちらでご紹介しています。併せてご覧ください。
鉄瓶と錆び
鉄瓶で一番頭を悩ませるのが「錆」。
初めて鉄瓶を使う際にうっかりやってしまう失敗といえば、鉄瓶の中を触ってしまうことです。
鉄瓶の中を触ったり洗ってはいけません。
鉄瓶の内部は処理がほどこされていて、スポンジを入れて洗ったり指でこすったりするとそこから錆びてしまうのです。
また、鉄瓶を洗剤で洗うのは論外です。
鉄瓶はお湯を沸かした後は中を空にして予熱で中を乾かします。
毎日お湯を沸かすと「湯アカ」で鉄瓶内部が白っぽくなり錆にくくなるそうです。
使わないまま飾っておくと錆ますので、錆予防という観点からも、できるだけ鉄瓶は頻繁に使いましょう。
ただ、毎日使っていてもどうしても錆がでてきてしまうんですよね。そんな場合も特に心配する必要はありません。
鉄瓶は鉄でできています。鉄は錆びるものですから。
まず、中が錆びてしまってもお湯が赤くない場合はそのまま気にせず使います。
しかし、お湯が赤くなる・錆が広がって気になってきた場合は緑茶の茶葉を(ティーパックが使いやすい)鉄瓶に入れてお湯を何度も沸かします。
お茶のタンニンが鉄(赤錆びと)結合して、赤錆が真っ黒になり錆びなくなるそうです。
タンニンと鉄分の関係については以下のページにも詳しく書いています。合わせてご覧ください。
なお、鉄瓶と表記されていますが、商品によっては内側をホウロウでコーティングされているものもあります。
こういった鉄瓶は内部は錆びませんが、鉄分補給という観点で購入しても鉄分は出てこないので注意してください。
ちなみにメイドインジャパンの直火用の鉄瓶はホウロウコーディングされていません。
ちなみにネットでは「鉄瓶」というキーワードで鉄急須が販売されています。デパートなどでも鉄瓶コーナーの中に鉄急須が一緒に並べられていることが多いです。うっかり鉄瓶だと思って購入しないように気を付けてください。
( ゚Д゚)私は間違えました。
鉄瓶のように直火にかけられる鉄急須もありますが、エナメルコーティングされている鉄急須ではお湯を沸かすことはできません。
まとめ
いろいろ書きましたが、日々の生活の中で難しく考えることなく素敵に鉄瓶を楽しめるのが一番だと思います。
しっとりと手に馴染んだ、黒く美しい鉄瓶は『一生もの』になりますよ。
やわらかな艶のある鉄瓶への育て方は以下のページで紹介しています。併せてご覧ください。
以上、四門が鉄瓶の使い方についてご紹介しました。